新しいワインは 新しい器に
だれも、新しいぶどう酒を古い皮袋に入れはしない。
もしそんなことをしたら、その皮袋は張り裂け、酒は流れ出るし、皮袋もむだになる。
だから、新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れるべきである。
そうすれば両方とも長もちするであろう。
―マタイによる福音書 9章17節―
師友塾は、一つの幻から始まりました。
僕はかつて、幾百万の若者たちが、こぞってぞろぞろと既存の学校から立ち去る姿を見、そして、彼らの低い呻き声を聞いたのです。彼らは苦悩しながらも躍動し、創造的でさえありました。僕はそんな若者の表情の中に、希望を見ました。そして「この若者たちが甦るような教育現場を作ろう」と心に決めたのです。
爾来34年、幻は現実のものとなりました。
一人の人間としてすぐれた資質や美徳、そして鋭敏なアンテナを持っているがゆえに、既成の制度になじめず、学校に行かない生き方をみずから選んだ、そんな新しいタイプの若者たちが、師友塾で学んでいます。
新しいぶどう酒は、新しい皮袋に入れるように、新しいタイプの若者には、新しい学校が必要です。それが、師友塾です。
師友塾では、自分の花を咲かせることを急ぐよりも、これからの自分の人生を支える“根”を張ることに一所懸命になって欲しいと思います。本来、思春期とは、一人の人間として、どう生きていくべきか、人間として基本的な在り方を考える大切な時期なのです。しっかりとした根を持った人間になれば、どんな時代にも、どんな逆境にも耐え、乗り越えて行くことができます。
いまの欺瞞に満ちた社会への不適応性は、次の新たな社会への適性を意味していると僕は確信しています。君たちは、新しいワインです。師友塾で、君たちの“未来適応能力”を思う存分伸ばしてください。
New wine is poured into fresh wineskins............
- 大越 俊夫【師友塾 塾長・師友塾高等学校 理事長・AIE 学院長】
- 1943年、広島県尾道市生まれ。関西学院大学大学院米文学研究科博士課程修了。同学院在籍中に帝塚山短期大学専任講師を務める。ブリティッシュ・コロンビア大学留学を経て、75年、不登校児・高校中退生のための「師友塾」を創設。
- 80年、カリフォルニア・ルーテル大学英文科準教授。81〜84年、同大学学長補佐。同時に大学の協力を得て「AIE」(現本部シアトル)を設立。「師友塾」と連携させ、日本からの留学生育成にも力を注ぐ。
- 月刊誌『パーセー』主宰。著書多数。『子どもが学校に行かなくなったら赤飯をたきなさい』『6000人を一瞬で変えたひと言@A』『「自分」との対話』(ともにサンマーク出版)、『青春革命』(日本文化科学社)、『幻の鯉のぼり』(白揚社)、『自然に勉強する気になる子の育て方』(幻冬舎)、『不適応能力』(致知出版社)、『こう考えると、人生は変わるよ。』(PHP研究所)、『心の雨やどり@A』(学びリンク)など。